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ブランドコンセプト

vol.3 洋服のお直し依頼で検証する私達職人。

 以前、このようなことがありました。あるお客様が50年〜60年前に作られたスーツをお持ちになられてご来店されました。若干の寸法直しと、傷んだ部分(特に裏地)を直して欲しいというご依頼でした。  手前味噌になりますが、それは先輩の職人が手掛けたスーツで、一見して職人やスタッフ一同驚いたのは、さすがに生地のヨレは若干ありましたが、型崩れがほとんど無かった事です。  長年大切に着用していただいているお客様への感謝はもちろんですが、先輩の職人技をまざまざと見せつけられました。  その時、私達職人も「自信をもって後世に残せる洋服を作らなければならない!」と、気が引き締まる思いがしました。  また、なぜお客様が50年〜60年も経つそのスーツを、お直しとしてお持ちになられたのか?私達はその辺にも興味がありました。  これは想像に過ぎないのですが、きっとその当時の「思い出のあるスーツ」だと思われます。ご本人しか知り得ない思い出が、今もこのスーツと共に現役だと思うと、何とも感慨深いものがありました。  そして、私達は何としてもこれからも着用できるようにして、お客様にお戻ししたいと職人魂が燃えてきました。  実を言いますと、このようなお直しのご依頼の際、私達は「スーツの直し作業をしている」という実感より、「自分達の作った服を検証している」という勉強意識を兼ねて作業をさせていただいているのです。  もちろん不具合が見つかれば、「どのように直すか?」また、作られた時には主流だったパーツや素材ですが、「今ではどのようなパーツや素材を用いるのが最良なのか?」など、見えない部分だからこそ、納得のいくまでの検討と試作を繰り返しています。  このようにご依頼はお直しであっても、常に新しい素材や技術を取り入れて、お預かりした時以上の「着心地の良い服づくり」に職人のみならず、全社を挙げて取り組んでおります。  最近、ご自分へのご褒美にと、スーツを新調されるお客様が増えてきました。もちろん、プレゼントや、何らかの記念にオーダーされる方も少なくないです。  私達職人は「思い出づくり」までは出来ませんが、その思い出の詰まったスーツを長年ご着用していただく為のお手伝いはできるものと考えております。

一針入魂 縫製職人の声 裁断:渡辺政照 裁断:三好三郎 縫製:渡部忍